先輩先生からのメッセージ【2024年】

  三歳児年少、黄色い帽子の桃組さん。
  私が初めて担当したクラスには、何かあるたびに「先生嫌い」と直接言ってくるM君という男の子がいました。
  M君は怒られる事が大嫌いで、私に何か注意されるとすぐに顔を真っ赤にしてお部屋の隅に走って行ってしまいます。
  追いかけてお話をすると、真っ赤な顔のままで目に涙を溜め、小さな声で「先生嫌い」と言うのです。
  私はこれを言われると、いつも心臓をぎゅっと絞られているような気持ちになりました。
  自分が経験の浅い先生であるせいで、M君に伝えたい事が伝わらないように感じていました。
  ですが、ある日登園してきたM君がおもむろに言いました。
  「先生の事好きだけど、大好きじゃない」
  それって嫌いって事？ と尋ねた私に、M君は恥ずかしそうに「大好きじゃないだけ」と言って戻っていきました。
  M君が彼なりに伝えてくれた言葉に、私を頼りない先生だと思っていたのは私自身で、M君にとっては関係なく、私を好きだと言ってくれたのだと気が付きました。
  今でも沢山悩んだり迷ったりする事がありますが、時折M君の素直じゃない言葉を思い出し、きっと次は素直に「大好き」と言ってもらえる先生になりたいなと思っています。