先輩先生からのメッセージ【2019年】

  私は勤めている園で“延長保育”という業務を担当しています。延長保育とは保護者の方々が就労・就学、又は介護等の理由により家庭での保育が難しい子供達の保育を担当する、小学校でいうところの“学童保育”のような部門です。新卒一年目で初めて自分が先生として園に就職してからの三年間、私は延長保育の担当教諭として働いてきました。当初自分が延長保育の担当だと聞かされた時最初に思ったことは、「延長保育とはどのような仕事なのだろう」でした。
  働き始めて感じたことは、延長保育を利用している子供達は必ずしも自ら望んで来ている訳ではないということです。考えてみれば当たり前で、保護者の方々の様々な事情により預けられる子供達の中には、「延長保育に行きたくない」、「早くお母さんに会いたい」 と言って泣いてしまう園児、元気がない園児が少なからずおり、その状態を見た保護者の方々もお迎えの際には子供達に対して申し訳なさそうな表情を浮かべて帰っていきました。その時私は、子供達をお迎えの時間まで安全に預かるのはもちろん、何よりその時間を楽しく過ごせるよう保育内容を考えていくことが延長保育の仕事なのだと思いました。
  延長保育担当として保育を行って数ヶ月がたったある日、それまでは延長保育が嫌だと言って泣いていた園児が、お迎えの際にこう言いました、「お母さん早すぎ！もっと遊びたかったのに！」。私はその言葉を聞いた時、初めて延長保育担当として先生になれたような気がしました。それから段々と同じように言ってくれる園児は増えていき、保護者の方からも、「子供が先生の話をいつもしている、子供が楽しそうで安心して預けることができる」というありがたい言葉も頂けるようになりました。
  最初は分からないことがたくさんあります。今も分からないことの方が多く先輩や同期、後輩にも助けられながら保育に打ち込む毎日です。そして今もお母さんに会いたい、延長保育は嫌だという園児ももちろんいます。だからこそ私は、これからもそんな園児が幼稚園は楽しくてまた来たいと思わせられる先生に、安心して預けることができると保護者の方々が言いたくなる先生を目指し、これからも頑張っていきたいと思います。